欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2012/5/2

経済産業情報

新車ネット販売、実店舗販売の脅威に

この記事の要約

独立系のネット仲介業者による新車販売がドイツで急成長している。新車販売全体に占めるシェアは現在1%程度にとどまるものの、店頭より価格が安くモデルの比較も簡単にできることなどから若年層を中心に利用者が増えている。一方、激し […]

独立系のネット仲介業者による新車販売がドイツで急成長している。新車販売全体に占めるシェアは現在1%程度にとどまるものの、店頭より価格が安くモデルの比較も簡単にできることなどから若年層を中心に利用者が増えている。一方、激しい値引き競争にさらされ利益率が低下している実店舗の販売業者にとっては無視できない脅威になりつつあり、ネット業者との提携によって生き残りを模索するディーラーも出てきた。4月27日付『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』紙が報じた。

\

2007年に設立されたmeinauto.de(ケルン)は11年に1万台を仲介販売した。事業は好調に推移しており、今年は販売台数で約1.5倍の1万5,000台を見込む。

\

ネット販売業者は相談などのサービスを最小限にすることや実店舗を持たないことでコストを抑えることができる。meinauto.deのアレクサンダー・ブッゲ社長によれば、同サイトでの価格はカタログ価格に比べて平均15%割安だ。欲しいモデルが確定しており、できるだけ低価格で購入したいユーザーや、ディーラーとの値引き交渉を煩わしく感じるユーザーにとってメリットは大きい。

\

自動車販売業界団体ZDKのウルリッヒ・フロメ副会長は「以前であれば、顧客は対面で詳しい説明を聞くために販売店に足を運んだ。1990年代後半には、インターネットの情報を印刷して店にやってくる顧客が増えた。現在は特に30歳以下の世代が欲しいクルマをネットで探す」と、店頭販売の地盤沈下を指摘する。

\

こうした事情を受け店頭ディーラーはネット仲介販売との提携で販売台数を伸ばす道を模索し始めた。1台当たりの売上高は減少しても、販売台数を増やすことでメーカーからの奨励金が得られるためだ。ただ、こうした方法はネット販売業者がさらに成長することにつながるため、店頭ディーラーは一層の苦戦を迫られる恐れもある。

\