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2012/5/30

経済産業情報

ヘッジファンド、欧州銀の債権取得に意欲=PwC調査

この記事の要約

経営難に陥った欧州の銀行がバランスシートの圧縮・健全化に向け、融資債権を売却する動きを強めている。大手会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が21日発表した業界動向によると、本業との関連性が薄いため切り離 […]

経営難に陥った欧州の銀行がバランスシートの圧縮・健全化に向け、融資債権を売却する動きを強めている。大手会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が21日発表した業界動向によると、本業との関連性が薄いため切り離しの対象になっている非中核融資は欧州の銀行全体で2兆5,000億ユーロに上る。ヘッジファンドやプライベートエクイティなどの投資機関は債権を安値で取得する絶好の機会とみており、買収に向けて調達した資金は600億ユーロに上るという。

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PwCが機関投資家50人以上を対象に実施したアンケート調査では、「銀行は今後5年以内に債権処理などのリスク削減を実施・完了すると思う」との回答は半数以上を占めた。また、債権売却のピーク予測では「2013年」が61%で最も多く、「14年」は4人に1人、「今年(12年)」も8人に1人に上った。

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欧州の銀行が融資売却を進める背景には、バーゼルIIIをはじめとする業界規制によって自己資本の増強を余儀なくされていることがある。PwCの関係者によると、欧州銀が分離する総額2兆5,000億ユーロの融資債権は資産価値の6%に相当する。このうち回収不能となる恐れのない健全債権は1兆7,000億ユーロと見積もられている。売却される債権は今年だけでも500億ユーロ(額面ベース)、今後10年では5,000億ユーロに達する見通しだ。

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