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2012/6/6

経済産業情報

ネット通販業界、返品率引き下げに苦心

この記事の要約

商品の返品はネット通販事業者にとって頭の痛い問題だ。返品率は商品の種類によって大きく異なるものの、独ファッション系通販サイトでは5割は“普通”とされる。靴のネット通販で急成長を続けるZalandoは当初、試し履きできない […]

商品の返品はネット通販事業者にとって頭の痛い問題だ。返品率は商品の種類によって大きく異なるものの、独ファッション系通販サイトでは5割は“普通”とされる。靴のネット通販で急成長を続けるZalandoは当初、試し履きできないデメリットを解消するため「返品無料」を大々的にアピールしていたが、8割に上る高い返品率に悲鳴を上げて戦略を転換。以前に比べて返品率は下がっているという。5月30日付『南ドイツ新聞』が報じた。

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企業コンサルティング会社SMPのティロ・ボブロウスキ社長は、ドイツ人の返品率が高いのは顧客の大半が商品到着後に銀行振り込みで決済するため、必要以上に大量注文することへの心理的な抑制が働きにくいためだと指摘する。前払い制が普及するフランスでは、消費者が注文アイテムを慎重に選択するため、返品率は平均10%以下にとどまる。

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返品をしづらくすることで安易な注文・返品の防止に取り組む通販事業者もいる。貼るだけで済むような返品カードを商品に添付しない、返品前にカスタマーセンターへの連絡を義務づける、後払いを選択する顧客の手数料を高くする、など対策は様々だ。これに対し、通販商品の返品処理などを手がけるHermes Fulfilmentの担当者は「返品をしづらくするよりも、消費者が正しい商品を選択できるよう工夫するべきだ」と批判する。

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使用したことが明らかな商品や破損した商品、偽物とすり替えての返品など悪質なケースは全体の約2%にとどまるという。通販事業者の多くは顧客との関係悪化を恐れて価値が損なわれた商品でも返品を受け付けるものの、支払い督促などの通知手数料や送料をその分高めに設定しているようだ。

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