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2012/6/6

経済産業情報

政治家などの外国批判がビジネスの障害に

この記事の要約

人権侵害国に対する政治家や有力者の批判的な発言を受けて、当該国でビジネスを展開するドイツ企業が報復の矢面に立たされるケースが増えている。カタールでは独サッカー連盟(DFB)のヴォルフガング・ニーアスバッハ新会長が2022 […]

人権侵害国に対する政治家や有力者の批判的な発言を受けて、当該国でビジネスを展開するドイツ企業が報復の矢面に立たされるケースが増えている。カタールでは独サッカー連盟(DFB)のヴォルフガング・ニーアスバッハ新会長が2022年のサッカーワールドカップが同国で開催されることを3月に公然と批判して以来、「ドイツ企業への風当たりが強くなり、大型プロジェクトから締め出そうとする動きが顕著になった」という。5月25日付『ハンデルスブラット』紙が報じた。

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カタールはカタール投資庁傘下のカタール・ホールディングを通してフォルクスワーゲン(VW)、ポルシェ、ホーホティーフに出資している。ニーアスバッハDFG会長の発言を受け、カタールの首都ドーハで発行されている『Al Raya』紙は独企業のボイコットを呼びかけており、「これまで非常に高かった親独ムードは一気に冷え込んだ」(独企業関係者)という。

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体制批判発言で企業がとばっちりを受けているのはカタールだけでない。独政府のマルクス・レーニング人権問題政務次官がアゼルバイジャンの人権抑圧を批判した際は、アゼルバイジャン国営石油会社(SOCAR)が「ナブッコ・バスパイプライン」(計画中)への天然ガス供給を見合わせる可能性を示唆。同プロジェクトに参加するRWEへの圧力を高めた。

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ウクライナのティモシェンコ前首相への処遇に抗議するためメルケル首相が同国で開催されるサッカー欧州選手権の観戦ボイコットを表明した際は、ウクライナ政府与党・地域党(RP)の副党首が同国に進出するドイツ企業は不利な扱いを受ける可能性があると述べ、圧力をかけた。

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