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2012/6/13

経済産業情報

市販鎮痛剤の販売減少、マスコミ報道が影響

この記事の要約

市販の解熱鎮痛剤の販売が減少している。暖冬でインフルエンザ患者が少なかったほか、解熱剤の長期服用や過剰摂取による健康障害の問題がマスコミで取り上げられていることが背景にある。特にアセトアミノフェン(パラセタモール)は需要 […]

市販の解熱鎮痛剤の販売が減少している。暖冬でインフルエンザ患者が少なかったほか、解熱剤の長期服用や過剰摂取による健康障害の問題がマスコミで取り上げられていることが背景にある。特にアセトアミノフェン(パラセタモール)は需要の落ち込みが大きく、医薬品市場調査会社IMS Healthによると、2012年1-3月期の売上高(単剤のみ)は前年同期比を17%下回った。独連邦医薬品・医療機器審査局(BfArM)は同薬の処方薬化の是非を協議するため、今月中にも専門委員会を開催する意向だ。8日付『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版、FTD)』紙が報じた。

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アセトアミノフェン錠剤の国内最大手メーカーであるBeneのヘルムート・ベネント社長はFTD紙に対し、「多くの薬剤師は、『テレビ番組で(副作用のことが)話題になっているような薬は可能な限り売りたくない』と考えている」と発言。薬剤師の間に不安が広がったことで販売に大きなブレーキがかかったとの見方を示した。

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アセトアミノフェンは過去にも2回、処方薬扱いとすることが提案されたが、いずれも途中で取り下げられ、実現には至っていない。ベネント社長は「アセトアミノフェンを処方箋なしで購入できるのは2009年以降、小型パッケージに限られている。(過剰摂取につながりうる)大型パッケージは医師の処方せんがなければ購入できない」と指摘。今回の協議でも、同薬が全面的に処方薬に切り替えられる可能性は低いとの考えを示した。

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