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2012/6/13

経済産業情報

新薬査定制度を欧州製薬業界が批判、ドイツ販売を中止する動きも

この記事の要約

2011年1月にドイツで導入された新規特許薬の査定システムを欧州製薬業界が批判している。欧州製薬団体連合会(EFPIA)のベルグストローム事務局長は経済紙『ハンデルスブラット』に対し、同システムは「安く買いたたくための査 […]

2011年1月にドイツで導入された新規特許薬の査定システムを欧州製薬業界が批判している。欧州製薬団体連合会(EFPIA)のベルグストローム事務局長は経済紙『ハンデルスブラット』に対し、同システムは「安く買いたたくための査定と言わざるを得ず、問題がある」と発言。特許薬を不当に安い価格で販売することを強要するなら、当該医薬品のドイツ販売を中止せざるを得ないとの立場を表明した。

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同査定システムは膨張の一途をたどる医療費の抑制を狙って導入されたルールで、新薬の価格をメーカーが自由に決定できたそれまでの方式はこれにより、健保との交渉によって取り決める方式へと改められた。第3者機関が新薬の治療効果を査定。既存薬より優れていないと判断された場合は効果が同等の既存薬を薬価の上限とし、治療効果が高いと判断された場合は公的健保との交渉で薬価を決定する。

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EFPIAのベルクストローム事務局長によると、これまでに査定を受けて公的健保との価格交渉に入った新薬のうち、メーカーが満足できる価格が取り決められたのはアストラゼネカの「チカグレロル」のみで、他の新薬の大半は販売価格が大きく抑えられるのがほぼ確実という。こうした状況を受けて査定システムから離脱し、ドイツでの販売を取り止めたか販売計画を撤回したメーカーは4社に上る。

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これに対し、公的健保の関係者は「既存薬以上の効果がない新薬が独市場から引き上げられても、我々は何ら損失を被らない」と発言しており、メーカーの動きを意に介していないようだ。

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