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2012/6/13

経済産業情報

過去のテスト評価の広告利用に裁判所が違法判決

この記事の要約

商品テスト機関Stiftung Warentest(SW)が実施した試買テストで高い評価を受けたものの、その後品質が低下し、1年後の再試験で評価を引き下げられた商品の広告をめぐる裁判で、ツヴァイブリュッケン高等裁判所はこ […]

商品テスト機関Stiftung Warentest(SW)が実施した試買テストで高い評価を受けたものの、その後品質が低下し、1年後の再試験で評価を引き下げられた商品の広告をめぐる裁判で、ツヴァイブリュッケン高等裁判所はこのほど、かつての評価を広告に掲載することは違法との判断を示した。法律で禁じられたまぎらわしい表示に該当し、消費者の混乱を招くとした。(訴訟番号:4 U 17/10)

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係争の対象となっていたのはBuechel社が製造するシャックルロック「Sekura KB302」(ディスカウントストアでは「ProFEX 65852」の商品名で販売)。同製品はSWが2007年7月に実施した試買試験検査で、上から2番目に高い「優(gut)」の評価を受けた(5段階評価)。しかし、全ドイツ自転車クラブ(ADFC)の会員から「同製品の質には問題がある」との通報を受け08年秋に再試験を実施したところ、07年の試験時に比べ品質が大きく劣っており、盗難防止の役目を果たさないことが発覚。SWは商品テスト誌『Test』の09年2月号で、同製品は優の評価にもはや値しないとする記事を掲載した。

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それにもかかわらず、Buechelが「SWの試験で“優”の評価を受けた」とのロゴを製品パッケージに表示し続けたため、SWは広告表示の中止を求めて提訴した。ツヴァイブリュッケン高裁の裁判官は「後になって製品評価が取り消された事実をメーカーは消費者に伏せており、紛らわしい表示に該当する」と指摘、当該評価の表示を止めるよう命令した。

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SWの試買試験検査は消費者の信頼度が高く、良い評価を獲得したメーカーが成績を製品パッケージや広告で宣伝することは少なくない。ただ、評価を受けた後に製法・原材料などを変更し品質が落ちることもある。このため、SWは定期的に再試験を行い、明らかに質が落ちた製品についてはその事実を公表し、消費者に注意を促している。

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