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2012/6/13

経済産業情報

波の干渉で振動吸収、新たな人工筋肉開発

この記事の要約

機械などの振動をアクティブに吸収する新たな誘電性エラストマー型アクチュエーター(人工筋肉)を、フラウンホーファー構造耐久性・システム信頼性研究所(LBF)が開発した。交流電圧を印加して人工筋肉を振動させ、振動体と逆位相・ […]

機械などの振動をアクティブに吸収する新たな誘電性エラストマー型アクチュエーター(人工筋肉)を、フラウンホーファー構造耐久性・システム信頼性研究所(LBF)が開発した。交流電圧を印加して人工筋肉を振動させ、振動体と逆位相・同振幅の振動をぶつけて打ち消すのがポイントで、受動的に振動を制御する従来のタイプに比べ振動吸収性能が大幅に向上したという。LBFは人工筋肉のひび割れなどを抑制する仕組みもあわせて考案した。

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エラストマーはゴムのように弾性に富む高分子化合物で、自動車、機械などの振動吸収材として広く用いられている。人工筋肉はエラストマーを電極板ではさんだもの。電圧を印加すると電場の方向には収縮し、垂直方向には膨張する。

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交流電圧をかけて人工筋肉を振動させるうえでは電極も大きな問題となる。これまで使用されてきた金属はエラストマーに比べ柔軟性に乏しく、伸縮を繰り返すと剥離やひび割れを起こすためだ。

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LBFの研究チームはこの問題を解決するためには、電極の表面に微小な穴をあけるという方法を考案。電圧をかけて変形した(はみ出した)エラストマーがその穴に“逃げ込める”ようにすることで電極の伸縮を最小限に抑える。電極の変形が抑えられるため、緩衝目的でぶつける振動は振動体の振動と完全には一致しないものの、振動は従来品に比べ大きく抑えられた。

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