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2012/6/20

経済産業情報

再可エネ投資に保険会社が二の足

この記事の要約

過去最低水準の低金利で運用収益が悪化するなか、保険各社が洋上風力発電所や高圧送電網整備など再生可能エネルギー(RE)関連の投資に大きな関心を示している。投資リスクは高いものの、リスクを慎重に見極めたうえで投資先を厳選すれ […]

過去最低水準の低金利で運用収益が悪化するなか、保険各社が洋上風力発電所や高圧送電網整備など再生可能エネルギー(RE)関連の投資に大きな関心を示している。投資リスクは高いものの、リスクを慎重に見極めたうえで投資先を厳選すれば安定した長期収益が見込めるためだ。ただ、送電網と発電事業の分離を義務づける欧州連合(EU)指令に加え、EU域内の保険会社に対する新資本規制(ソルベンシーII)が投資の大きな障壁になっており、アリアンツなどの保険大手はドイツ政府に対し、状況改善に向けEUと交渉するよう強く求めている。12日付『ハンデルスブラット』紙が報じた。

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再保険大手のミュンヘン再保険はこれまでに、風力・ソーラーパーク建設プロジェクト、高圧送電インフラプロジェクトに合わせて数億ユーロを投資した。現在は新たなREプロジェクトと送電インフラプロジェクトに計35億ユーロを投資する計画という。同社のトーマス・ブルンク社長は「リスクをある程度見極めることができれば、大規模投資に見合うだけの成果を期待できる」と明言する。

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アリアンツのREコンサルティング子会社、Allianz Climate Solutions(ACS)のアルミン・ザントへーフェル社長も「基本的には理想的な投資先」との考えを示す。西欧の一部の国や金融機関が債務問題の影響でREプロジェクトを支援する資金的余裕がないなか、保険業界は「唯一の出資者」としてRE業界からの期待も大きい。

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ただ、発電事業と送電網事業の分離を義務づけるEU指令によって、電力会社だけでなく保険会社も発電・送電事業の両方に出資(投資)することを禁止されている。ウインド・ソーラーパークを約30カ所運営するACSはこのため、送電網市場に参入できない。

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ソルベンシーIIの規定によって、REプロジェクトと電力インフラに投資する保険会社は投資額の49%に相当するソルベンシーマージン(余裕資金)の保有を義務づけられることも投資の足かせ要因だ。ACSのザントへーフェル社長は「RE投資のソルベンシーマージンは20%が適切」として、ハードルの引き下げを求めている。

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