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2012/6/27

経済産業情報

繊維メーカーが事業絞り込みで生き残り

この記事の要約

アジアからの安価な繊維製品の輸入拡大で国内の繊維産業が大きな打撃を受けるなか、伝統的な繊維・アパレル産業の集積地として知られるメンヒェングラートバッハ(独西部・低地ライン地方)のメーカーが生き残りの道を探っている。中小企 […]

アジアからの安価な繊維製品の輸入拡大で国内の繊維産業が大きな打撃を受けるなか、伝統的な繊維・アパレル産業の集積地として知られるメンヒェングラートバッハ(独西部・低地ライン地方)のメーカーが生き残りの道を探っている。中小企業の多くが淘汰され市場から消えたものの、AundeやAlberto、Kleversなどのメーカーは◇高い技術力が要求される高付加価値分野にターゲットを絞る◇高級ブランドイメージ確立する――などの方法で嵐を乗り切った。専門分野で業界トップグループに成長したところも少なくない。19日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。

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1899年創業のAundeは、1920年から一貫して自動車産業向けの布地やクッション材を生産している。自動車産業の国際化に歩調を合わせる形で1980年代に国外市場に進出。現在は世界26カ国の計86カ所に工場を持ち、1万4,000人が生産に従事する。乗用車向け布・革製シート材のほか乗用車・商用車向けシートシステムも手がけ、売上高は16億ユーロ。自動車部品サプライヤー業界では世界のトップ100社に入るという。

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Kleversは1923年の設立。元々は絹織物メーカーだったが、現在は工業用ガラス繊維に特化しており、1,200度まで耐えられる特殊ガラス繊維や耐熱コーティング材を生産する。顧客の個別ニーズにきめ細かく対応する必要があるため、「生産コストの安い国に生産拠点を移すことは考えていない」。

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紳士ズボンメーカーのAlbertoは小売店のプライベートブランド向け製品を主に手がけてきたが、2001年にMarco Lanowyが資本参加したことをきっかけに方向性を転換。現在では紳士ゴルフウエアのブランドとして知名度を上げている。

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シャツ・ブラウスメーカーのvan Laackは2002年、繊維企業家のクリスティアン・フォンダニエルス氏に買収された。当時はブランドイメージの低下と同社製品を取り扱う販売店の減少に直面していたが、中核事業の高級シャツ・ブラウスに経営資源を絞り込むとともに、販売パートナーの獲得や直営店の構築に注力し、危機を乗り切った。

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