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2012/6/27

経済産業情報

吸着技術を活用し蓄熱・熱輸送、排熱活用の効率アップに期待

この記事の要約

ゼオライト(沸石)の吸着熱を利用した低温廃熱回収・熱輸送技術の開発に、フラウンホーファー界面工学・バイオテクノロジー研究所(IGB)を中心とする産学研究チームが取り組んでいる。ゼオライトは低温排熱回収で主に使われている温 […]

ゼオライト(沸石)の吸着熱を利用した低温廃熱回収・熱輸送技術の開発に、フラウンホーファー界面工学・バイオテクノロジー研究所(IGB)を中心とする産学研究チームが取り組んでいる。ゼオライトは低温排熱回収で主に使われている温水に比べ蓄熱効率が高く、装置の小型化が可能。また、構造や成分を変えることで性能をさまざまに制御できるため、従来の技術では使われずに喪失していた熱の有効活用が進むと期待されている。

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ゼオライトはアルミノケイ酸塩鉱物の一群。骨格構造に由来する微細な空洞(細孔)を持つことが大きな特徴で、分子ふるい、イオン交換材料、触媒、吸着材料などに利用されている。

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ゼオライトは水分を吸着すると放熱(発熱)し、脱水すると吸熱する。水分との接触をブロックすることで蓄熱エネルギーを保持できるため、水のように熱放射によるエネルギー損失がない。脱水温度は比較的低く、種類によっては100度以下でも吸熱反応を起こす。また、物理吸着を利用するため、吸水・脱水を繰り返しても構造が変化せず、何度でも利用できる。さらに、固体での運搬が簡単なため、蓄えた熱を離れた場所で利用することも可能だ。

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低温排熱回収・熱輸送手段としてのゼオライトのポテンシャルは以前から知られていた。ただ、低温排熱は◇熱エネルギーの質が低い◇用途が限られている――などがネックとなり、実用化に向けた研究が遅れている。

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IGBやZeoSys(ベルリン)などが参加する産学研究チームはこうした事情を踏まえ、ゼオライトの種類や細孔構造、反応温度、熱交換器の配置・設計など、条件を変えてさまざまな実験を実施。また、輸送可能な容量750リットルの実験タンクを作成し、バイオガス施設や熱電併給装置に実際に接続して実環境での測定試験を行っている。

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研究チームは、これまでのプロジェクト成果を国際化学技術・環境保護・バイオテクノロジー専門見本市(Achema、18~22日)で発表した。

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