投資銀行業界が欧州債務危機の直撃を受けている。株式市況が低迷し企業買収・合併(M&A)の動きが鈍くなったことで、手数料収入が大きく減少しているためだ。ニュース・金融情報配信大手トムソン・ロイターによると、独企業が売り手ないし買い手として関与するM&A案件で投資銀行が2012年上半期に受け取った手数料は2億3,320万米ドルで、前年同期の半分以下に落ち込んだ。22日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。
\市場の先行き不透明感から企業が慎重になっているのはM&Aにとどまらない。新規株式公開(IPO)や新株発行による資金調達も前年に比べ明らかに低迷しており、独RAG財団は今月末に予定していた傘下の化学大手エボニクのIPOを延期した。『ファイナンシャル・タイムズ(ドイツ版)』紙によると、同社のIPOは2000年のドイツポスト以来の超大型案件と目されていただけに、延期は「投資銀業界にとってかなりの痛手だ」と関係者は口をそろえる。
\JPMorganの関係者は「我々はM&AやIPOに関連する業務を何件か抱えているが、金融市場の先行き不安を受けて大半は構想段階にとどまっている」と述べたうえで、ユーロ債務危機の早期打開に向けた政治的な取り組みの必要性を強調した。
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