Deutsche Bank(フランクフルト)は11日、新しい経営戦略「Strategie 2015+」を発表した。リーマンショックに端を発する業界の構造転換と銀行規制強化を踏まえた内容で、2015年までに年間コストを45億ユーロ圧縮するほか、リスク加重資産(RWA)の受け皿機関(バッドバンク)を設立。増資を行わずに財務基盤を強化する。
\45億ユーロのコスト削減のうち3億5,000万ユーロは7月に発表した2,000人規模の人員削減を通して実現する。このほか、ITと管理部門で17億ユーロを圧縮する計画。
\バッドバンクには中核事業に属さない総額1,350億ユーロのリスク加重資産を移管する。主な対象となるのは証券化商品や投資銀行部門が持つ仕組み債で、アンシュ・ジャイン共同最高経営責任者(CEO)は不良資産でないことを強調した。
\同行はコスト削減とバッドバンクの設立を通して狭義の中核自己資本比率(Tier1)を2013年までに8%以上、2015年までには10%以上へと引き上げる。
\利益率については税引き後ベースの自己資本利益率(ROE)で12%以上を目指すとする新しい目標を打ち出した。これにより税引き前ベースのROEで25%以上を確保するとした従来の目標から決別した格好。金融危機で高い利益率の達成が難しくなっていることが背景にある。ルーラント・リサーチのアナリストはロイター通信に対し、同行の新しいROE目標は税引き前ベースで20%に相当すると指摘。「良い数値だ」と肯定的な評価を示した。
\Deutsche Bankはボーナスの支給ルールも改正する方針で、これまで3年に分けて分割支給してきた方式を5年後に一括支給する方式へと改める。短期的な視野で投資を行い一時的に巨大な利益を上げても長期的には大きな損失をもたらすことが多い現実を踏まえた措置で、長期的な視野で行動することを行員に促す狙いがある。
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