航空管制などの地上レーダーが集合型風力発電所(ウィンドパーク)に反射して起こる電波障害を防止するための電波吸収コーティング技術を、ケルン専門大学高周波技術研究室のライナー・クローンベルガー教授を中心とする研究チームが開発した。特殊な表面構造を持つメタマテリアル(電磁波に対して自然界の物質にはない振る舞いをする人工物質)を用いて電波の反射を抑えることがポイント。レーダーシステムへの影響を理由にウィンドパーク建設計画が中止・変更されるケースもあるだけに、風力発電の普及促進に役立つことにチームは期待を寄せる。
\気象観測や航空・交通管制、防衛などに使われる地上レーダーが高速で回転する風力発電タービンのブレードにぶつかると多重反射を起こし、虚偽標的(ゴースト)やクラッター(目標以外の不要な反射波)の原因となる。また、ブレードの回転速度やレーダーの向きによっては周囲を航行中の船舶や航空機からの反射波と打ち消し合い(干渉)、レーダーで検出できなくなる恐れがある。英国では「軍のレーダーに悪影響が出る」として、すでにいくつものウィンドパーク建設プロジェクトが中止に追い込まれた。
\ケルン専門大学のチームは、ウィンドパークの電磁波障害シミュレーションを繰り返しながらコーティング用の素材を模索し、レーダー波を吸収する樹脂ベースのメタマテリアルを開発した。クローンベルガー教授によると、最大の難関は◇軽量◇ブレードの形状に合わせてコーティングが可能◇被膜層は薄くかさばらない――の3条件を満たすことだったという。
\研究の成果は国際風力発電見本市「Husum WindEnergy」(9月18~22日開催)で紹介された。
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