社員募集の際に応募資格者の年齢を制限することは、一般平等待遇法(AGG)で禁じられた不当な差別に当たる。では、応募資格者の職歴に上限を設けることもAGGに抵触するのだろうか。この問題をめぐる係争でケルン労働裁判所が1月に判決(訴訟番号:3 Ca 3734/12)を下したので、ここで取り上げてみる。
\裁判を起こしたのは被告企業が2011年10月に行った社員募集に応募した1973年生まれの男性。応募資格には「職業経験2年以下」という条項があった。原告の同男性は職歴が9年を超えていたため、被告企業は書類選考で不採用とした。
\原告はこれが少なくともAGGで禁じられた間接的な差別に該当すると主張。AGGの規定の基づき損害賠償請求訴訟を起こした。被告企業は裁判審理で、職業経験年数が長いと給与体系の関係で給与支給額が高くなるため、職業経験2年以下を応募条件に設定したとして、正当な措置だと反論した。
\ケルン労裁は原告の訴えを棄却した。判決理由で裁判官は、高齢になってから職業生活を始めるケースもあると指摘。年齢が高いからといって職業経験年数が長いとは限らないとして、年齢差別はなかったとの判断を示した。また、被告企業が給与体系を理由に職業経験年数の上限を設定したことは不当でないとの見解を示した。
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