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2013/5/22

ゲシェフトフューラーの豆知識

未消化の有給休暇、金銭で支給する義務がないケースも

この記事の要約

雇用関係を解消する場合、企業は未消化の有給休暇を金銭に換算して当該の被用者に支給しなければならない。これは有給休暇法(BUrlG)7条4項に明記された決まりである。だが、この支給義務が発生しない例外的なケースもある。そん […]

雇用関係を解消する場合、企業は未消化の有給休暇を金銭に換算して当該の被用者に支給しなければならない。これは有給休暇法(BUrlG)7条4項に明記された決まりである。だが、この支給義務が発生しない例外的なケースもある。そんな判断を最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が14日に下したので、ここで取り上げてみる(訴訟番号:9 AZR 844/11)。

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裁判は被告企業で荷物の積み下ろし業務に従事していた元社員が起こしたもの。同社員は2006年1月から病欠しており、雇用主は08年11月26日付の文書で、解雇を通告した(解雇日は09年6月末日)。原告はその取り消しを求める裁判を起こしたものの、両者は10年6月29日に和解。◇原告を09年6月末日付で解雇する◇被告は原告に一時金1万1,500ユーロを支払う◇両者は雇用関係から発生する金銭的な請求権をすべて相互に放棄する――の3点を取り決めた。

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原告はその後、被告企業に宛てた7月29日付の文書で、未消化になっている06年から08年の有給休暇を金銭に換算して支給することを要求。総額1万656.72ユーロの支払いを求めて新たな裁判を起こした。

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1審は原告の訴えを棄却したものの、2審のザクセン州労働裁判所は6,543.60ユーロの支払いを被告企業に命令。最終審のBAGは2審判決を破棄し、原告に請求権はないと言い渡した。判決理由で裁判官は、原告は雇用関係から発生する金銭的な請求権を放棄していると指摘。そのなかには有給休暇を金銭に換算して請求する権利も含まれるとの判断を示した。

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