欧州連合(EU)の欧州委員会は4日、中国製の太陽光パネルに暫定的な反ダンピング(不当廉売)税を課すことを正式に決定した。ドイツ、英国など多くの加盟国が中国との通商紛争激化を懸念し、反ダンピング措置発動に反対したことから、2カ月間は税率を低めに抑えるものの、中国商務省は5日、対抗措置としてEU産のワインに対する反ダンピング、反補助金調査の開始を発表。貿易摩擦が激化している。
\欧州委はこれまでの調査で、中国の太陽光パネル生産能力は需要の1.5倍に達していることから生産過剰状態にあり、これがダンピング輸出を招き、EUに輸出される製品の価格はコストを最大88%下回っているとして、暫定的な反ダンピング措置の発動に踏み切った。今回の決定により、EUは中国製の太陽光パネルに6日から税率11.8%(平均)の反ダンピング税を課す。中国側がEUとの協議で是正に応じなければ、8月6日から税率を平均47.6%に引き上げる。
\欧州委は5月に同措置発動の方針を固めた際、反ダンピング税の税率を当初から47.6%とする予定だった。しかし、中国政府が猛反発したほか、加盟国のうちドイツ、英国など18カ国が中国側の報復措置を懸念し、反対を表明したことから、話し合いでの解決に向けて、当初は低い税率を適用する方針に転換した。デフフト委員(通商担当)は「ボールは中国側にある」と述べ、中国政府に対応を呼びかけた。
\中国側によるEU産ワインへの反ダンピング、反補助金調査は、最大のワイン輸出国であるフランスに揺さぶりをかけ、太陽光パネルをめぐるダンピング問題で譲歩を迫る意図があるとみられる。欧州自動車工業会(ACEA)は7日、中国政府がEU製の高級車に関する反ダンピング調査の要請を受けたとの情報を入手したことを明らかにした。
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