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2013/6/19

経済産業情報

紫外線照射でぶどう畑の細菌防除

この記事の要約

ブドウの大敵であるべと病などの細菌病を、農薬を使わずに防除する技術を、ガイゼンハイム大学を中心とする産学研究チームが開発した。紫外線をブドウの葉や果実に照射するというもので、被害を完全に抑えることはできないものの、殺菌剤 […]

ブドウの大敵であるべと病などの細菌病を、農薬を使わずに防除する技術を、ガイゼンハイム大学を中心とする産学研究チームが開発した。紫外線をブドウの葉や果実に照射するというもので、被害を完全に抑えることはできないものの、殺菌剤の散布回数を大幅に減らすことができる。

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ワイン用ブドウの害虫駆除ではフェロモンカプセルが大きな効果を上げているが、ぶどうべと病や灰色カビ病、うどんこ病、黒腐病など細菌性の病害では化学農薬や重金属(銅)溶液を散布してカビの繁殖を抑えるほかに手段がなかった。

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農薬の使用は地下水汚染など環境への影響が大きいことから、ガイゼンハイム大学、紫外線技術会社uv-technik mayerなどの産学チームは2010年、食品の殺菌に使われる短波長紫外線(UVC)を照射することで病害菌を防除するプロジェクトに着手。実験室とブドウ畑の両方で波長や照射時間などの条件を様々に変えて最適な条件を模索し、試行錯誤を繰り返した末、強度80~160ミリワット/cm2のUVCをブドウの木1本当たり3秒照射するだけで、病害菌の50~95%を死滅させられることを突き止めた。ぶどうの生育には全く影響がないという。

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現時点では菌を100%防除できないため、他の方法を併用する必要がある。また、照射機器は高額なため、安価なワインでは採算が合わないものの、殺菌剤の散布が全く不要になることも夢ではないと、チームは今後の研究の進展に期待を寄せる。

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同プロジェクトはヘッセン州政府から15万5,900ユーロの資金支援を受けて、2010~12年の2年にわたって実施されたもので、今月10日に研究成果が発表された。

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