ドイツのソーラー業界の危機が一段と強まっている。太陽電池大手のコナジーはこのほど倒産。「太陽王」の異名をとるアスベック社長が率いる競合ソーラーワールドも経営破たんの瀬戸際に追い込まれている。かつて太陽光発電セルの世界最大手だったQセルズは昨年倒産し、韓国のハンファ・グループに買収された。業界を取り巻く環境は依然として厳しく、太陽電池製造装置メーカーは新規事業の開拓に乗り出した。
\コナジーは5日、会社更生手続きの適用をハンブルク区裁判所に申請した。新たな投資家から出資を仰ぐ再建計画が取引先銀行に受け入れられなかったことが引き金となった。同社はプレスリリースで「ある投資家の支援を受けながら会社更生手続きの枠内で事業を継続していくことができると現在も確信している」との立場を表明した。
\大型プロジェクトに対する売掛金の回収が遅れ資金繰りが苦しくなっていた。ロイター通信が消息筋の情報として報じたところよると、コナジーは1日、同社の債務を引き受けるとともに出資も行う投資家を債権銀行に紹介したもようだ。
\同社は経営再建に向けて取引先銀行が計2億6,000万ユーロの債権の大部分を放棄するという計画を作成した。フィリップ・コンベルク社長によると、債権銀行10行のうち9行は支持する方向だったが、1行が反対したため再建計画が不成立となり、経営破たんにつながったという。
\同社は3月末時点で債務が自己資本を9,600万ユーロ上回る債務超過に陥っていた。運転資金の確保は緊急の課題となっており、5月にはサプライヤー2社が同社の転換社債、合わせて460万ユーロを引き受けると発表していた。
\コナジーは1998年の創設。当初はソーラー発電のプロジェクト会社だったが、後に風力、バイオマス発電にも事業を拡張。さらに太陽光発電モジュールの生産事業にも乗り出した。
\だが、急速な事業拡大が響き経営が急速に悪化。2007年には経営破たんの寸前まで追い込まれ、事業を太陽電池分野に絞り込んだ。人員削減や債務の株式化を行ったにもかかわらず、経営はその後も安定せず、昨年は売上高4億7,400万ユーロに対し最終損失8,300万ユーロを計上した。株価はピーク時(07年9月)の110ユーロ強から0.12ユーロに下落。時価総額は22億ユーロから約2,000万ユーロへと低下した。
\従業員数は1,200人(ピーク時は2,500人)で、そのうちドイツが800人を占める(独東部のフランクフルト・アン・デア・オーダーの工場が320人、ベルリン近郊のラングドルフ工場が200人)。事業は当面継続されるものの、同社の存続は新たな投資家を獲得できるかにかかっている。
\ソーラーワールドは先月中旬、経営再建計画を発表した。債務の株式化と減資・増資手続きを通して財務を健全化するという内容で、事業提携先のカタール企業からは出資と融資を受ける。すでに銀行やヘッジファンドなど主要債権者の同意を得ているものの、今後開催される株主総会と社債権者集会で承認されなければ、会社更生手続きの申請が避けられない見通しだ。
\ \Manzはディスプレー製造装置事業に注力
\ \太陽電池業界からの需要減を受けて同電池の製造装置メーカーは事業の多角化を推し進めており、西南ドイツに本社を置くManzは薄型ディスプレー製造装置事業の強化に乗り出した。スマートフォン市場の拡大を背景に需要が伸びているためで、最近は大型受注が相次いでいる。リチウムイオン電池製造装置事業にも期待をかける。昨年末時点の受注残高(1億2,800万ユーロ)に占める太陽電池製造装置の割合は5%まで低下した。競合Renaは水ビジネス市場の将来性を見据え、水質浄化装置メーカーのH+Eを買収。先ごろ会社更生手続きが終了したCentrothermは半導体製造装置事業を強化する。
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