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2013/7/17

総合 - ドイツ経済ニュース

電力各社が発電所の停廃止を検討、電力不足の懸念

この記事の要約

ドイツの大手電力会社や都市エネルギー公社が石炭や天然ガスを利用する従来型発電所の停廃止を検討している。再生可能エネルギー電力を優遇する政策のしわ寄せで採算が取りにくくなっているためだ。業界内の情報として16日付『南ドイツ […]

ドイツの大手電力会社や都市エネルギー公社が石炭や天然ガスを利用する従来型発電所の停廃止を検討している。再生可能エネルギー電力を優遇する政策のしわ寄せで採算が取りにくくなっているためだ。業界内の情報として16日付『南ドイツ新聞』が報じたもので、従来型発電所の合計発電能力(計9万メガワット)の最大20%が削減される可能性がある。

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国内最大手のエーオンは今年初、欧州の発電所を2015年までに計11カ所、廃止すると発表した。ドイツでは複数の発電所が対象となる。また、これとは別にキールにある合弁発電所の運転を15年末で取り止める。競合RWEも数千メガワット規模の発電能力を削減することを検討中。EnBWは今月上旬、火力発電所4カ所で稼働を当面見合わせると発表した。

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ドイツでは再可エネ電力の優遇策を受けて、同電力が大量に供給されている。この結果、電力取引所での取引価格が急落。再可エネ電力と異なり助成金を受けられない従来型発電所は収益力が低下している。再可エネ電力を優先的に買い取るルールもあるため、稼働時間が少なくなり発電所建設コストを回収しにくくなっているという事情は追い打ちをかける。

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従来型発電所が大量に廃止されると、電力を安定供給できなくなる懸念がある。

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発電事業者はコールドリザーブ(予備発電能力)に組み込む発電所を資金的に支援し安定供給を確保できるようにするよう政府に要求しているが、これまでのところ受け入れられていない。

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