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2013/8/7

経済産業情報

スマートメーターの普及拡大、費用に見合った効果「なし」=E&Y

この記事の要約

監査法人アーンスト・アンド・ヤング(E&Y)は7月30日、スマートメーター導入の費用対効果は必ずしも大きくないとする報告書を発表した。スマートメーターの世帯普及率を20年までに80%に引き上げるという欧州連合( […]

監査法人アーンスト・アンド・ヤング(E&Y)は7月30日、スマートメーター導入の費用対効果は必ずしも大きくないとする報告書を発表した。スマートメーターの世帯普及率を20年までに80%に引き上げるという欧州連合(EU)の目標に沿って設置を増やしても経済的メリットはほとんどなく、ドイツの個別事情に合わせた設置プランの策定が必要と結論づけている。

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同レポートは連邦経済省の委託を受けて作成された。それによると、消費電力の少ない世帯では設置コストが省エネ効果を上回る。

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スマート家電とスマートメーターの連携に関しては、発電量の多い時間帯に合わせて稼働できる家電の電力消費量が極めて少ないという事情を指摘した。家庭の電力消費のうち、太陽光などのエコ電力供給量の多い時間に合わせて使用時間を動かせないものが、調理や照明、テレビ、冷蔵庫など全体の4割を占めるためだ。多かれ少なかれ運転時間を動かせる家電として洗濯機、乾燥機、食洗機が挙げられるものの、使用頻度が少ないため、エコ電力の供給変動を吸収することはできない。

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また、エコ電力の有効な蓄電方法として評価されている夜間蓄熱電気暖房機は電力の消費効率が悪いため、19年に販売が中止される。全体として、スマートメーターで制御可能な電力は家庭の使用量全体の7.2%、蓄熱電気暖房を除けば4%弱に過ぎず、EU指令に沿ってメーター設置を増やしても「効果はない」という。

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レポート作成の背景にあるのはEUの「エネルギー効率化・エネルギーサービスに関する指令」だ。EUは20年までに全世帯の80%にスマートメーターを設置するという目標を掲げており、加盟国は目標達成に向けた取り組みが求められている。ただ、市場分析の結果、設置の費用対効果が薄いことが明白な場合は、国の事情に合わせた独自の取り組みを策定する道が残されている。

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