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2013/8/7

経済産業情報

ルール地方で低炭素都市プロジェクト

この記事の要約

かつて炭鉱都市として栄えたルール地方のボットロープ市で、低炭素都市の実現をめざす環境プロジェクトが進められている。「InnovationCity Ruhr」と名付けられた同プロジェクトではエネルギー効率改善や二酸化炭素( […]

かつて炭鉱都市として栄えたルール地方のボットロープ市で、低炭素都市の実現をめざす環境プロジェクトが進められている。「InnovationCity Ruhr」と名付けられた同プロジェクトではエネルギー効率改善や二酸化炭素(CO2)の排出削減など、地球温暖化防止につながるあらゆる取り組みを実施。その効果を検証し、生活水準を引き下げることなく2020年までにCO2排出量を10年の半分に圧縮する目標だ。

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InnovationCity Ruhrプロジェクトは、ルール地方を欧州の最先端地域に発展させることを目指す民間団体「Iniviativekreis Ruhr」が10年初めに立ちあげたもので、エーオン(エネルギー)、ホーホティーフ(建設)、シーメンス(電機)、テュフラインランド(技術監査)、ボーフム大学、アーヘン工科大学など産学の約60機関が参加する。

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プロジェクトのモデル都市は公募制で選出された。コンペにはボーフム、エッセン、ミュールハイム・アン・デア・ルーアなど16の自治体が名乗りを上げたが、ボットロープ市は2万人を超える市民が署名を通してキャンペーン活動を支援したことなどが高く評価され、モデル都市に選ばれた。

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ボットロープのパイロット地区は広さ24.63平方キロメートル、建築物数1万4,474軒、人口6万9,000人。炭鉱業の名残をとどめながらも住宅や商業地、オフィスが密集しており、ルール地方の典型的なたたずまいを持つ。地区内で実施されている個々のプロジェクトは住宅エネルギー効率改善、EVカーシェアリングなど125件以上に上る。

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特に建物の改修によるエネルギー効率の改善に力を入れる。パッシブハウスなど新築は「全国の自治体の見本として、波及効果が見込めない」ため実施しない。既存の建物を取り壊すことなく建物の省エネを実現するほうが、はるかに現実的で大きな効果をもたらせるとしている。

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