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2013/8/21

ゲシェフトフューラーの豆知識

事業譲渡で解雇が可能なケースあり

この記事の要約

他社ないし他社の事業を買収した企業は買収の時点で買収対象事業で有効だった被用者に対する権利と義務を継承しなければならない。これは民法典(BGB)613a条1項に明記されたルールである。同条4項第1文にはさらに、事業譲渡を […]

他社ないし他社の事業を買収した企業は買収の時点で買収対象事業で有効だった被用者に対する権利と義務を継承しなければならない。これは民法典(BGB)613a条1項に明記されたルールである。同条4項第1文にはさらに、事業譲渡を理由に新旧の雇用主が被用者を解雇することを禁止する旨が記されている。この規定に関する係争でメクレンブルク・フォーポマーン州労働裁判所が1月に判決(訴訟番号:2 Sa 166/12)を下したので、ここで取り上げてみる。

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裁判は保険会社Pの代理店に務める従業員が雇用主を相手取って起こしたもの。同代理店では雇用主と女性従業員の計2人が内勤を行い、原告は主に外交員として勤務していた。

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雇用主は2010年11月から11年9月13日まで病気で勤務できなかった。このため復職後の11年11月3日、P社の地域統括責任者に代理店を売却する意向を打診。同代理店を第3者に売却することを取り決めた。

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被告雇用主は新たな雇用主の下で被用者として勤務することを希望していた。また、新たな雇用主は原告の解雇を事業取得の条件としていた。さらに、内勤の女性従業員は育児休暇中のため解雇できないという事情があった。被告はこれを受けて原告に整理解雇を通告。原告はこれを不服として提訴した。

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1審のシュヴェーリン労働裁判所は原告の訴えを棄却。2審のメクレンブルク・フォーポマーン州労裁も棄却を言い渡した。判決理由で裁判官は、もっぱら自社を売却できるようにする目的で被用者を解雇することは、BGB613a条4項第1文の規定に抵触しないとの判断を示した。最高裁への上告は認めなかった。

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