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2013/9/25

経済産業情報

送電網などを再公有化、ハンブルクが住民投票で決定

この記事の要約

民営化した送電網、ガス輸送網、熱供給網の再公有化を求める住民投票が22日、北ドイツのハンブルクで行われ、賛成50.9%で再公有化が決まった。州政府は財政リスクが大きいとして反対してきたものの、投票結果を受けて完全再公有化 […]

民営化した送電網、ガス輸送網、熱供給網の再公有化を求める住民投票が22日、北ドイツのハンブルクで行われ、賛成50.9%で再公有化が決まった。州政府は財政リスクが大きいとして反対してきたものの、投票結果を受けて完全再公有化に向けて最大限、努力する意向を表明した。同様の住民投票は11月にベルリンでも行われる。

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ハンブルク州は過去十数年間、財政再建に向けて公営企業の民営化を推進。送電網と熱供給網についてはエネルギー大手のバッテンフォール、ガス輸送網についても同エーオンに譲渡した。州は現在、3分野の合弁会社にそれぞれ25.1%出資している。

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これに対し、市民団体や環境団体、教会、労組などからなる住民組織「われわれのハンブルク」は、市民の生存に直接かかわるエネルギー供給網を民間の営利企業が所有することは好ましくないとして再公有化に向けた運動を展開。幅広い市民の支持を得て、今回の住民投票を実現させた。

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州政府は今回の結果を受けて、エーオンとバッテンフォールに対しエネルギー供給網3社の資本を全量譲渡するよう要請する。ただ、エネルギー供給事業は当局により4.5~5%の純利益率が保証され確実に利益を確保できる事業であるため、両社は要請を拒否する見通しだ。

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この場合、州政府は州立のエネルギー輸送会社を設立。送電とガス輸送の分野で同州が今後行う事業免許入札に参加させて、落札を目指す。だが、州立会社が落札すると、入札が公正でなかったとして他の入札参加者から提訴されるリスクがあり、ハンブルク州が再公有化を実現できかは定かでない。

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