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2013/9/25

ゲシェフトフューラーの豆知識

従業員の大量解雇では事業所委との協議が必要

この記事の要約

従業員の大量解雇を計画する場合、雇用主は解雇に関する情報を事業所委員会(Betriebsrat)に伝えたうえで、解雇の回避ないし規模縮小の可能性を協議しなければならない。これは解雇保護法(KSchG)17条2項に記された […]

従業員の大量解雇を計画する場合、雇用主は解雇に関する情報を事業所委員会(Betriebsrat)に伝えたうえで、解雇の回避ないし規模縮小の可能性を協議しなければならない。これは解雇保護法(KSchG)17条2項に記されたルールである。大量解雇の規定については同条1項に明記されており、被用者数が20~59人の事業所では5人以上を解雇する場合が該当する。同3項にはさらに、解雇計画に関する事業所委宛ての通知とそれに対する事業所委の意見書を労働局に届け出なければならないことも記されている。このルールに関する係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が3月に判決を下したので、ここで取り上げてみる。

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裁判は被用者数36人の企業の機械工が雇用主を相手取って起こしたもの。雇用主は2010年8月2日付の文書で、会社を清算し全従業員を解雇する計画を事業所委に通知した。その際、解雇計画に対する事業所委の見解を聞くための文書も渡したところ、同委は解雇反対との回答を行った。

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雇用主はまた、労働局に解雇計画を届け出るとともに、8月20日付の文書で被用者に解雇を通告した。これに対し原告は、解雇に向けた手続きに不備があるとして解雇無効の確認を求める訴訟を起こした。

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第2審のデュッセルドルフ州労働裁判所は原告勝訴を言い渡し、最終審のBAGも2審判決を支持した。判決理由で裁判官は、被告雇用主は解雇の回避ないし規模縮小の可能性を探るために事業所委と協議しなければならないとしたKSchG17条2項の義務を履行しなかったと指摘。解雇無効を言い渡した。

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