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2013/10/23

総合 - ドイツ経済ニュース

サムスンが差し止め訴訟の自粛提案

この記事の要約

スマートフォンに関連した「必須標準特許」の扱いをめぐり、欧州連合(EU)が韓国サムスン電子に対して調査を進めている問題で、欧州委員会は17日、サムスン側から米アップルなどの競合企業に対して特許侵害を理由とする差し止め訴訟 […]

スマートフォンに関連した「必須標準特許」の扱いをめぐり、欧州連合(EU)が韓国サムスン電子に対して調査を進めている問題で、欧州委員会は17日、サムスン側から米アップルなどの競合企業に対して特許侵害を理由とする差し止め訴訟を向こう5年間行わないとの提案があったことを明らかにした。競争法違反と認定された場合に科される巨額の制裁金を回避するのが狙いとみられる。欧州委は1カ月にわたって意見募集を行い、反論がなければサムスン側の提案を妥当な是正措置と認定し、同社に対する調査を打ち切る。

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問題となっているのは、サムスンが保有する第3世代携帯電話の通信規格(UMTS)に関連した特許。同社は欧州における電気通信分野の標準化団体である欧州電気通信標準化機構(ETSI)に対し、スマートフォンなどの開発に不可欠な標準必須特許に関しては、いわゆる「FRAND」と呼ばれる「公正、合理的、非差別的」な条件で他社に使用を許諾することを約束していたにもかかわらず、アップルによる特許侵害を主張して10カ国以上で「iPhone」をはじめとするアップル製品の販売差し止め訴訟を起こしている。

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欧州委は昨年12月、FRAND条項を順守せず、特許侵害を理由にライバルのアップルを市場から締め出そうとするサムスンの行為は市場支配的地位の乱用に当たるとの見解をまとめ、同社に対して異議告知書を送付した。最終的に競争法違反と認定された場合、サムスンは年間売上高の最大10%(2012年実績で約183億ドル)に相当する制裁金の支払いを命じられる可能性があるため、同社は和解に向けて欧州委に改善策を提示したが、同委は内容が不十分として追加の是正策を求めていた。

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欧州委によると、サムスンは「欧州経済領域(EEA)で特許ライセンスの枠組みに合意したすべての企業に対し、携帯端末の必須標準特許に関連した差し止め請求を今後5年間自粛する」との提案を行った。

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