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2013/10/30

経済産業情報

SEPA完全移行まで100日、ドイツの対応鈍く

この記事の要約

欧州内のユーロ建て小口決済を国内決済と同様に行うことができる「単一ユーロ決済地域(SEPA)」への完全移行(2014年2月1日)まで100日を切るなか、欧州最大の経済国であるドイツで対応の遅れが目立っている。個人顧客は1 […]

欧州内のユーロ建て小口決済を国内決済と同様に行うことができる「単一ユーロ決済地域(SEPA)」への完全移行(2014年2月1日)まで100日を切るなか、欧州最大の経済国であるドイツで対応の遅れが目立っている。個人顧客は16年まで切り替え猶予が認められているものの、企業や団体、行政機関は14年の移行完了が義務づけられており、中銀のティーレ理事は24日、「期日までに切り替えが完了しなければ入金の遅れや誤送金などの不利益を被ることになりかねない」と指摘。企業に準備を急ぐよう呼びかけた。

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SEPAはEU加盟国にアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイス、モナコを加えた32カ国で小口決済のインフラを統合し、ユーロ建ての口座振込、口座引落し、カード決済について、国内外の区別なく全て同じ条件で決済できるようにするためのスキーム。SEPA導入によって域内では外国送金の扱いがなくなるため、送金手続きを行った翌営業日には受取人の口座に入金されるようになり、手数料も大幅に引き下げられる。また、国ごとに異なる決済ルールが統一されることで、同一条件による競争が促されると期待されている。

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SEPAでは国ごとに異なるフォーマットに代わり、国際規格銀行番号(BIC、8ケタまたは11ケタ)と国際規格口座番号(IBAN、22ケタ)に統一される。

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独連邦銀行(中銀)によると、フィンランドやスロバキア、スロベニアでは今年7-9月期にSEPAシステムによる振り込みがほぼ100%に達した。一方、ドイツはわずか14%にとどまり、SEPA域内でエストニアに次ぐワースト2位だった。

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引き落としに至ってはわずか0.7%で最下位となっている。これは営業日1日当たり3,500万件、金額ベースで520億ユーロの引き落とし決済のほとんどすべてが旧制度で処理されていることを意味する。ドイツは経済規模が大きいうえ、引き落としによる決済の人気が高いという事情もあるため、ユーロ圏全体の決済ではほぼ50%がSEPA未対応で処理されている計算となる。切り替えにはコストや手間ひまがかかるため、特に中小企業・団体で対応が遅れており、全く手つかずというところも少なくないという。欧州中央銀行(ECB)は、ドイツで対応が遅れるとSEPA全体に影響が出かねないと懸念している。

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