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2013/10/30

ゲシェフトフューラーの豆知識

選別基準から逸脱した整理解雇は認められるか

この記事の要約

経営上の理由で従業員を整理解雇する場合、雇用主と事業所委員会(Betriebsrat)は選別基準(Auswahlrichtlinien)と解雇対象者の名簿リストを共同で作成する。その際、解雇基準とは異なる人選をすることは […]

経営上の理由で従業員を整理解雇する場合、雇用主と事業所委員会(Betriebsrat)は選別基準(Auswahlrichtlinien)と解雇対象者の名簿リストを共同で作成する。その際、解雇基準とは異なる人選をすることは果たして認められるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が24日に判決を下したので、ここで取り上げてみる。

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裁判は2009年に経営破たんした自動車部品メーカーの従業員が管財人を相手取って起こしたもの。管財人は10年2月10日、事業所委と共同で選別基準と解雇対象者の名簿リストを含む整理解雇計画を作成した。

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原告は同じ年齢層でかつ同等の業務を行う従業員7人のなかでただ一人、解雇リストに名前が載っていた。また、選別基準からすると原告よりも立場が不利な従業員Yは引き続き雇用されることになっていた。

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原告は選別基準から逸脱した解雇通告は不当だとして提訴。1審と2審で勝訴した。だが、最終審のBAGは2審判決を破棄し、裁判をハム州労働裁判所に差し戻した。判決理由で裁判官は、雇用主は解雇対象者の名簿リストを事業所委と共同で作成したと指摘。共同作成であれば、選別基準から逸脱した人選であっても有効だとの判断を示した。ハム州労裁に対しては、解雇が有効かどうかを決定するための事実審理が十分になされていないとして、それについて十分に審理を行って判決を下すよう指示した。

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