欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2013/11/6

総合 - ドイツ経済ニュース

ドイツの経常黒字を米財務省が批判

この記事の要約

米財務省は10月30日公開した為替報告書のなかで、ドイツの経済政策を強い調子で批判した。莫大な経常黒字を計上する一方で、内需拡大に向けた努力が足りず、これがユーロ圏と世界経済のマイナス要因になっていると指摘。是正を求めた […]

米財務省は10月30日公開した為替報告書のなかで、ドイツの経済政策を強い調子で批判した。莫大な経常黒字を計上する一方で、内需拡大に向けた努力が足りず、これがユーロ圏と世界経済のマイナス要因になっていると指摘。是正を求めた。独米関係は米情報機関NSAによるメルケル首相の通信傍受疑惑を受けて悪化しており、新たな火種となりそうだ。

\

米財務省は同報告書で、ユーロ圏の重債務国が財政と経済の立て直しに向けて内需と輸入の抑制に努めるなかで、ドイツは輸出を増やすとともに内需の拡大を怠っていると指摘。こうした姿勢はユーロ圏の経済がバランスを取り戻すことを妨げ、世界経済にも悪影響をもたらしているとの認識を示した。ドイツ経済が輸出に過度に依存していることの裏付けとしては、上半期の経常黒字が対国内総生産比で7%を超えたことを挙げた。

\

米財務省は4月に発表した前回の為替報告書でもドイツの経常黒字を批判した。ただ、今回は批判の調子が極めて強くなっており、米政府は今後ドイツに対し、経常黒字の削減と内需の大幅拡大を強く要求する可能性がある。

\

両国の対立の背景には米国が失業率の引き下げと経済成長の促進を最優先するのに対し、ドイツは伝統的にインフレ率の抑制と輸出促進を重視するという事情がある。独財務省のシュテファン・カンペーター政務次官は米財務省の批判を受けて、経常赤字国は競争力を強化して世界経済の安定に寄与すべきだと述べ、批判は「まったく理解できない」と反論した。また、与党・キリスト教社会同盟(CSU)の有力者であるイルゼ・アイグナー氏(バイエルン州経済相兼副首相)は「輸出大国であることを誇りに思う」と言い切った。

\

為替報告書は通商相手国が享受する競争上の不当な利益を指摘する目的で年に2回、作成される。これまでは人民元レートを抑制する中国が最大の批判対象となっていたが、今回は矛先がドイツに切り替えられた。

\