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2013/11/27

ゲシェフトフューラーの豆知識

業務用携帯の私的利用、禁止する場合は明確に伝達を

この記事の要約

業務用に支給された携帯電話機の私的な利用を禁止されていたにもかかわらず、個人的な通話目的で利用した社員を、雇用主は即時解雇できる。横領に該当するためだ。だが、私的利用の禁止を明確に伝えていない場合は解雇できない。そんな判 […]

業務用に支給された携帯電話機の私的な利用を禁止されていたにもかかわらず、個人的な通話目的で利用した社員を、雇用主は即時解雇できる。横領に該当するためだ。だが、私的利用の禁止を明確に伝えていない場合は解雇できない。そんな判決をヘッセン州労働裁判所が10月に下したので、ここで取り上げてみる(訴訟番号:12 Sa 312/09)。

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裁判は精神疾患患者の職業訓練や復職を支援する企業のマーケティング主任が同社を相手取って起こしたもの。同主任は2008年5月7日、28日および6月23日に私的な通話を業務用携帯で行った。雇用主はこれを受けて、解雇を通告。同主任は2000年に同携帯を支給された際、私的な目的で利用することを認められていたとして、解雇無効の確認を求める訴訟を起こした。

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被告企業はこれに対し、業務用携帯を支給した全社員には05年4月に、2つのPINコードを使い業務用通話と私的通話を区別して精算できるようにしたことを伝えたと指摘。これにより該当する全社員に対し会社負担での私的利用を禁止したことになると主張した。

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1審のフランクフルト労働裁判所は原告の訴えを認め、2審のヘッセン州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、業務用通話と私的通話を区別して精算できるようにしたと伝えただけでは、私的利用を禁止したことにはならないとの判断を示した。最高裁への上告は認めなかった。

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