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2013/12/11

企業情報

東芝―独電力小売市場に参入―

この記事の要約

東芝は4日、独不動産最大手のGAGFAHと提携して同国の電力小売市場に参入すると発表した。GAGFAHが所有する賃貸アパートに東芝製の太陽光発電システムを設置。割安な電力を居住者に直接販売する。まずは来年年3月から西南ド […]

東芝は4日、独不動産最大手のGAGFAHと提携して同国の電力小売市場に参入すると発表した。GAGFAHが所有する賃貸アパートに東芝製の太陽光発電システムを設置。割安な電力を居住者に直接販売する。まずは来年年3月から西南ドイツのフィーリンゲン・シュウェニンゲン市とオストフィルダン市で開始。その後は漸次、他の地域にも手を広げてゆく。

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年金基金などから投資を募りGAGFAHが保有するアパートに太陽光発電システムを設置。発電した電力は小売事業者である東芝インターナショナル・ヨーロッパ社のドイツ支店(以下、TIL)が購入し、配電事業者の売電価格よりも安くアパートの居住者に売電する。また、夜間など太陽光発電システムが稼動しない時間帯は、TILが卸電力市場から電力を直接調達し、太陽光発電システムの売電価格と同等の価格で居住者に売電する。

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電力を消費する居住空間に近いアパートの屋上に太陽光発電システムを設置し、発電した電力を居住者が直接消費するため、固定価格買い取り制度に依存しないほか、TIL、GAGFAH、投資者、居住者のそれぞれにメリットがある。

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開始時点の総発電容量は3MWで、750世帯に売電する予定。2016年までにドイツ全域で総発電容量を100MWまで拡大していく。

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ドイツでは固定買い取り価格が年々低下している一方で、太陽光発電の増加に伴い電気料金は高騰している。また、電力取引の自由化が進んでおり、小売事業者は卸電力市場から直接電力を調達できる。今回の事業モデルでは、小売事業者であるTILが電力系統を介さずアパートの居住者に直接売電することで地域の電力系統への負荷を低減するとともに、居住者に環境負荷の少ないエネルギーを提供できる。

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今後はスマートメーターや蓄電池、制御技術などを組み合わせ太陽光発電システムで発電した電力を昼夜問わず活用できるモデルを構築する。また、リアルタイムで地域のエネルギーマネージメントができるサービス事業への進出も検討し、各国の電力事情に適した分散電源を活用したスマートグリッド事業のグローバル展開を加速する。

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