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2014/1/15

経済産業情報

生保の保証利率が引下げ見通し

この記事の要約

保険数理の専門家で構成される独アクチュアリー協会(DAV)は8日、生命保険の法定保証利率(以下:保証利率)を2015年から現行水準より0.5ポイント低い1.25%に引き下げることを連邦財務省に提言した。金融市場で歴史的な […]

保険数理の専門家で構成される独アクチュアリー協会(DAV)は8日、生命保険の法定保証利率(以下:保証利率)を2015年から現行水準より0.5ポイント低い1.25%に引き下げることを連邦財務省に提言した。金融市場で歴史的な低金利が長期化し、運用収益が悪化しているためだ。ただ、保証利率が下がれば生保の魅力が薄れるため、DAVは金融市場の動向を精査したうえで年内に改めて提言を行う。

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保証利率(Höchstrechnungszins)は、保険会社が将来の保険金支払いのために備える「責任準備金」を積み立てる利率の上限値として義務づけられているもの(日本の標準利率にほぼ相当)で、ユーロ圏で最上級に格付けされた10年物国債の平均利回りを元に計算される。保証利率は保険監督法(Versicherungsaufsichtsgesetz)によって国債平均利回りの60%以内と規定されており、これを上回った場合に改定する仕組み。利率や引き上げ・引き下げ時期は、DVAと連邦金融監督庁(BaFin)の提言を踏まえて連邦財務省が決定する。

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保証利率は保険契約で金融市場の動向にかかわりなく保証される年利の最低基準でもある。契約年の保証利率は契約満了時まで有効なため、この利率が下がれば特に契約期間の長い貯蓄型保険の魅力が大きく薄れ、老後に備えて保険に加入する人が減少する恐れがある。ドイツ保険協会(GDV)は「社会政策上望ましくない」と指摘。保証利率の引き下げは慎重に検討すべきとの見解を示した。

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