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2014/2/12

経済産業情報

ECBの国債購入めぐる訴訟で憲法裁が欧州裁に付託

この記事の要約

ドイツの連邦憲法裁判所は7日、債務危機対策として欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏諸国の国債を無制限で買い入れることの合法性をめぐる訴訟で、判断を欧州司法裁判所に付託すると発表した。これによってECBによる国債購入が合法と […]

ドイツの連邦憲法裁判所は7日、債務危機対策として欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏諸国の国債を無制限で買い入れることの合法性をめぐる訴訟で、判断を欧州司法裁判所に付託すると発表した。これによってECBによる国債購入が合法とみなされる可能性が強まってきたと受け止められている。

ECBは2010年5月から、ギリシャに端を発するユーロ圏の信用不安で動揺した金融市場を支えるため、財政悪化国の国債を流通市場で買い取るという異例の措置を実施。2年9月には「アウトライト・マネタリー・トランザクション(OMT)」と呼ばれる新たな国債購入拡大プログラムを発表し、重債務国の国債を無制限で買い入れる方針を打ち出した。

OMTはこれまで実施されていないが、安全弁として機能し、計画発表は債務危機拡大を食い止める効果があった。しかし、ギリシャ、ポルトガルなど債務危機に直面する国に対するEUの支援に批判的な風潮が強いドイツで、ECBによる無制限の国債買い取りはEU基本条約に定められたECBの権限を逸脱するとして反発が広がり、約3万7,000人の市民が提訴していた。

独憲法裁の審理では、8人の裁判官のうち6人が原告の主張に理解を示し、OMTが「ECBに与えられた権限を逸脱していると考える重要な根拠がある」との見解を示した。しかし、EU機関であるECBをめぐる同問題は欧州司法裁の管轄として審理を停止し、判断を委ねることを決めた。

独憲法裁が欧州裁に判断を付託するのは初めて。欧州裁はEUの意向を尊重した判決を下す傾向が強いことから、OMTを支持する欧州委員会は独憲法裁の決定を歓迎している。