欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2014/2/19

総合 - ドイツ経済ニュース

食糧・農業相が辞任、与党内の関係悪化

この記事の要約

ドイツのハンスペーター・フリードリヒ連邦食糧・農業相(キリスト教社会同盟=CSU)が17日、辞任した。内相だった昨年10月、社会民主党(SPD)の国会議員が児童ポルノに関する国際的な捜査の対象に浮上している事実を、SPD […]

ドイツのハンスペーター・フリードリヒ連邦食糧・農業相(キリスト教社会同盟=CSU)が17日、辞任した。内相だった昨年10月、社会民主党(SPD)の国会議員が児童ポルノに関する国際的な捜査の対象に浮上している事実を、SPDのガブリエル党首に伝えていた事実が13日に明るみになったため。検察当局は守秘義務違反で捜査を開始しており、辞任が避けられなくなった格好だ。ガブリエル党首に捜査の事実を伝えたことを公表したのがSPDのトーマス・オッパーマン院内総務だったことから、同院内総務の辞任を求める声がCSUから出ており、メルケル首相(キリスト教民主同盟=CDU=)を首班とする大連立政権は発足後2カ月で大きな試練に立たされている。

児童ポルノの捜査線上に浮上したのはSPDのセバスチャン・エダーティ議員(7日辞職)だ。同議員は2005~10年にかけてカナダの映像制作・通販会社アゾフフィルムのサイトから児童ポルノ画像・動画をダウンロード購入していた容疑が持たれている。

独連邦警察庁(BKA)はアゾフフィルムをめぐる捜査でカナダ当局から協力要請を受け、ドイツに住む容疑者のリストを取得。そのなかにエダーティ議員の名前があったことから昨秋、フリードリヒ内相(当時)に連絡した。

内相はこれを受け10月4日、連立を組む公算の高いSPDのガブリエル党首に情報を伝達した。エダーティ議員が仮に入閣すると将来的に大きな問題に発展する恐れがあったため、そうした事態を事前に防ぐ意図があったとみられる。だが、これは職務上知りえた秘密の不当漏えいに当たる可能性がある。

ガブリエル党首はエダーティ議員が捜査の対象になっている事実をSPDのシュタインマイヤー院内総務(当時。現外相)とオッパーマン院内幹事(当時)に伝えていた。

エダーティ議員に対しては今月10日、家宅捜査が行われた。捜査責任者がメディアに語ったところによると、証拠はすでに隠滅されていた可能性がある。

アゾフフィルムに対する捜査については11月の時点でカナダ当局が動画などの作成者と購入者を大量に逮捕した事実を公表した。エダーティ議員はこの時点で、自分が捜査対象となっている可能性を悟ったとみられ、11月末時は弁護士を通して捜査に関する問い合わせを検察当局に行っていた。ただ、SPDの上層部からそれ以前に情報を入手していた可能性も排除できない。

フリードリヒ食糧・農業相の後任には連邦開発支援省のクリスチャン・シュミット政務次官(CSU)が就任した。