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2014/3/5

経済産業情報

医薬品卸売業界、値引き競争の悪循環に

この記事の要約

ドイツの医薬品卸売業界が値引き競争の悪循環に陥っている。競合の値下げで取引先を奪われると、奪回のためにより大幅な値引きに踏み切らざるを得ない状況で、薬局組合Nowedaのヴィルフヒート・ホルマン会長によると「7%の値引き […]

ドイツの医薬品卸売業界が値引き競争の悪循環に陥っている。競合の値下げで取引先を奪われると、奪回のためにより大幅な値引きに踏み切らざるを得ない状況で、薬局組合Nowedaのヴィルフヒート・ホルマン会長によると「7%の値引きも珍しくない」という。医薬品の流通マージンは法律で規定されているため、値下げはそのまま業績に直結する。卸売業界では「利益が確保できず、このままでは共倒れしかねない」と危機感が強まっている。2月28日付『ハンデルスブラット』が報じた。

医薬品卸売大手4社の営業利益率(EBITベース)は最も高いPhoenixでも2.02%にとどまっており、Nowedaは1.42%、Celesioは1.38%、Alliance Healthcfareは1.15%に過ぎない。ホルマン会長は、「価格競争が激化した結果、採算すれすれでも黒字を確保できればよいほうで、大幅な赤字になっている業者もいる」と指摘する。

過度の値引き合戦に終止符を打つために動きだした業者はこれまでのところない。業界最大手Phoenixは昨年、値引き措置を廃止する旨を取引先の薬局に通達したが、競合に顧客が流出。このため同社は値引きを再開し、ようやく顧客を取り戻したという。