高級車大手の独Daimler(シュツットガルト)が、東レと共同で設立した炭素繊維強化プラスチック(CFRP)分野の合弁会社Euro Advanced Carbon Fiber Composites GmbHへの出資比率を大幅に引き下げた。10日付『ハンデルスブラット』紙が広報担当者への問い合わせなどをもとに報じたもので、CFRPの生産事業から撤退する。
両社は2011年、自動車向けCFRP製品を製造・販売する目的で同合弁を設立し、西南ドイツのエスリンゲンに工場を開設した。従業員数は100人。出資比率は東レが50.1%、Daimlerが44.9%だったが、Daimlerは昨年末、保有する持ち分の大半を他の出資者に売却し、同5%まで引き下げた。
出資比率を大幅に引き下げたのは、自社モデルへのCFRPの投入が限られているうえ、他の自動車メーカーを顧客として獲得する狙いも外れ、製造コストの低下が進まないためだ。今後はCFRPを外部から調達する。
炭素繊維分野で化学大手のSGLと提携する競合BMWは先ごろ、CFRPを大量搭載した電気自動車「i3」を市場投入した。今年発売予定のプラグイン・ハイブリッド車「i8」にもCFRPを投入する計画で、米国にある炭素繊維工場の生産能力を倍増させる方向だ。BMWがCFRPの自製を拡大するのに対し、Daimlerは外部調達に転換。BMWと異なる道を選択した。