ドイツ企業を買収するロシア企業が増えてきた。主なターゲットは製薬、自動車関連などで、高い技術力とノウハウを取り込むことが狙いだ。件数としてはまだ少ないものの、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の関係者によると、買収候補の条件など狙いを定めるポイントが「英米などの企業に比べてはるかに具体的で明確」という。4日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。
露農機メーカーKirovsky Zavod(サンクトペテルブルク)は13年2月、独工作機械メーカーMonfortsを買収した。Monfortsは1884年創業の老舗企業だが、さきの金融・経済危機で業績が悪化し10年5月に倒産。同社の顧客であったKirovskyは再建支援に向けてまず少数資本参加を決定した。ロシア企業による出資に従業員が不安を持っていたことに配慮し、経営への口出しは事業戦略と資本参加に関することにとどめたほか、ロシア市場での販路開拓をサポートした。こうした支援を受けてMonfortsは業績が回復し、12年には売上高が前年比2.15倍の2,800万ユーロに拡大し、営業損益も赤字から黒字に転換した。
露造船会社Pella Shipyardは2月、11年に倒産した独同業J.J. Sietas KG(ハンブルク)を買収することで合意。露製薬メーカーR-Pharmも同月、イラーティッセンにある米ファイザーの生産拠点を買収した。
PwCの関係者は、ロシア企業は自国と独立国家共同体(CIS)を最重要市場として位置づけており、ドイツ企業の買収が今後、大きく増加することはない予想している。