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2014/3/12

ゲシェフトフューラーの豆知識

有期社員が事業所委員に選出、正社員の権利は発生するか?

この記事の要約

従業員の代表である事業所委員(Betriebsrat)を解雇することは原則として禁じられている。これは解雇保護法(KSchG)15条1項で定められたルールである。では、事業所委員に選出された有期雇用契約の社員は同ルールを […]

従業員の代表である事業所委員(Betriebsrat)を解雇することは原則として禁じられている。これは解雇保護法(KSchG)15条1項で定められたルールである。では、事業所委員に選出された有期雇用契約の社員は同ルールを根拠に労働契約の更新や正社員への登用を要求する権利を持つのだろうか。この問題をめぐる係争でハム州労働裁判所が昨年11月に判決(訴訟番号:7 Sa 1007/13)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は2010年12月1日から被告企業で倉庫業務に従事していた有期契約社員が起こしたもの。労働契約は2年後の12年11月末日で切れることになっていた。「パートタイムと有期労働契約に関する法律(TzBfG)」14条では、特別な理由がなくても契約期間が計2年以内であれば有期雇用を行うことが認められている(有期雇用が計2年を超える場合は特別な理由が必要で、特別な理由がなければ正社員として採用しなければならない)。

同社員は12年9月に行われた事業所委員の選挙に立候補して当選。雇用契約が切れる約2カ月前の同29日から事業所委として活動を開始した。それと同時に、正社員としての採用を要求し、これが受け入れられなかったため提訴した。

原告は1審で敗訴、2審のハム州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、事業所委員に選出されたからといって正社員として採用される権利は発生しないとの判断を示した。最高裁への上告は認めなかった。