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2014/3/26

経済産業情報

独航空業界の競争低下

この記事の要約

独航空産業連盟(BDL)は17日発表した航空輸送産業に関する国際調査レポートのなかで、ドイツの主要国際空港や航空会社は中東・アジア勢に比べ成長率が鈍いと指摘した。欧州連合(EU)の温室効果ガス排出規制やドイツの航空税、深 […]

独航空産業連盟(BDL)は17日発表した航空輸送産業に関する国際調査レポートのなかで、ドイツの主要国際空港や航空会社は中東・アジア勢に比べ成長率が鈍いと指摘した。欧州連合(EU)の温室効果ガス排出規制やドイツの航空税、深夜離着陸制限といった足かせ要因もあり、BDLは独業界の競争力低下に危機感を示した。

BDLなどがHandelsblatt Research Instituteに委託して実施した同調査によると、フランクフルト空港の2012年航空旅客数は5,750万人で、北京、ロンドン(ヒースロー)、シカゴ、パリ(シャルル・ド・ゴール)、ドバイに次ぐ6位だった。ミュンヘン空港(3,840万人)は10位につけている。

08年からの伸び率をみると、中東・アジアの空港は極めて高く、ドーハ(72.4%)、アブダビ(63.1%)、イスタンブール(57.9%)、ドバイ(54.1%)、北京(46.5%)は2ケタ台の半ばから後半に達した。これに対しフランクフルトは7.6%に過ぎず、ミュンヘンも11.1%にとどまった。

空港の利便性をみても北京、ドバイ、イスタンブールは離発着制限が一切ない。ヒースロー、シカゴ、パリ、アムステルダムも制限付きながら深夜離着陸が可能だ。一方、ドイツの主要空港は軒並み深夜離発着が禁止されている(フランクフルトで23~5時、ミュンヘンで0~5時)。

航空会社の輸送実績でもアジア・中東系の急成長が見て取れる。中国国際航空の旅客数は08年の3,610万人から12年には2倍の7,240万人に増加。エミレーツとトルコ航空もそれぞれ1.74倍、1.73倍に拡大した。欧州勢はルフトハンザが1.46倍、ライアンエアが1.35倍、エールフランスKLMが1.04倍と勢いが弱い。

ドイツの航空税は11年に導入された。レポートによると、これを受けて国内空港を避けて国外空港を利用した旅客は11年に500万人以上に上った。国内航空会社とドイツの国際空港が逸失した売上高は合わせて7億ユーロに達するという。