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2014/3/26

経済産業情報

原発の早期停止をエーオンが検討、電力供給に支障の懸念

この記事の要約

独南部のグラーフェンラインフェルト原発を当初予定よりも早く稼働停止とすることを、エネルギー大手のエーオンが検討している。前倒しで停止すると地元バイエルン州の電力供給に支障が出る恐れがあり、同州のゼーホーファー首相は「グラ […]

独南部のグラーフェンラインフェルト原発を当初予定よりも早く稼働停止とすることを、エネルギー大手のエーオンが検討している。前倒しで停止すると地元バイエルン州の電力供給に支障が出る恐れがあり、同州のゼーホーファー首相は「グラーフェンラインフェルト原発の発電能力は2015年まで電力の安定供給に欠かせない」との見方を表明した。問題解決に向けて現在、連邦政府と協議している。21日付『南ドイツ新聞(SZ)』が報じた。

ドイツは2011年の福島原発事故を受け、国内の原発を22年末までに全廃することを決定した。グラーフェンラインフェルト原発については15年末で廃止することが決まっている。

だがSZ紙によると、運営事業者であるエーオンは同年春に廃止することを検討中。同社は問い合わせに対し「発電所では常に経済性が決定的な要因だ」と回答するにとどめ、具体的な検討内容を明らかにしなかった。核燃料棒の交換がコスト要因となっているもようだ。

ドイツでは10年に核燃料税が導入された。原発事業者は燃料棒を交換する際に同税を納入することが義務づけられている。

グラーフェンラインフェルト原発を15年末まで稼働させるためには、燃料棒を交換しなければならない。交換すると税コストおよそ8,000万ユーロが発生するため、エーオンは同原発の早期停止を検討しているという。

バイエルン州政府と連邦政府は電力安定供給の確保に向けて、グラーフェンラインフェルト原発を15年末まで稼働させるための方策を協議中。具体策として(1)次回の燃料棒交換時に核燃料税を徴収しない(2)監督官庁の連邦ネットワーク庁が同原発を重要電源に指定し予備発電所(コールドリザーブ)として待機させる――の2つが挙がっている。(2)を採用すると、必要経費は電力料金に上乗せされる。同コストは核燃料税(8,000万ユーロ)を大幅に上回る見通しという。