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2014/4/2

経済産業情報

シーメンス社長がプーチン大統領と会談

この記事の要約

独シーメンスのヨーゼフ・ケーザー社長は3月26日モスクワを訪問し、プーチン大統領などと会談した。ロシアのクリミア自治共和国併合を受け同国と欧州連合(EU)、米国の関係が緊迫するなかでの会談だったため、注目を集めた。同社の […]

独シーメンスのヨーゼフ・ケーザー社長は3月26日モスクワを訪問し、プーチン大統領などと会談した。ロシアのクリミア自治共和国併合を受け同国と欧州連合(EU)、米国の関係が緊迫するなかでの会談だったため、注目を集めた。同社の広報担当者はメディアの問い合わせに対し「難しい政治情勢下でも対話の糸を切ってはならない」との立場を表明した。

ケーザー社長はプーチン大統領、および国営天然ガス大手ガスプロムのアレクセイ・ミラー社長とそれぞれ会談した。シーメンスはロシア国鉄から高速鉄道と貨物用機関車を大量に受注したほか、ロシアの国営病院に医療機器を納入している。2018年には同国でサッカー・ワールドカップ(W杯)が開催されることから、インフラ面でも受注を獲得したい考えだ。

同社長は記者会見で、ロシア企業との間には信頼関係があるとして、今後も同国に投資を行う意向を表明した。同時に「政治は経済に優先する」との原則に支持を表明。ロシアに対する経済制裁が発動されれば従う方針を明らかにした。

今回のロシア訪問はクリミア問題が発生する以前から計画されていた。メルケル首相にも事前に連絡を入れており、首相は同日、ドイツ企業の社長がロシアとコンタクトを取っても異論はないとの立場を明らかにした。

政府はドイツ企業の対露貿易を今後も支援する方針で、連邦経済省は同日、ヘルメス貿易保険をロシア向け輸出に引き続き適用する意向を表明した。

シーメンスはクリミア戦争が勃発した1853年にサンクトペテルブルクに事務所を開設し、ロシア進出を果たした。現地従業員数は現在3,000人強で、同地での売上高は20億ユーロに上る。