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2014/5/7

経済産業情報

VWがスカニアへのTOB延長、期限内に目標に届かず

この記事の要約

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は4月30日、スウェーデンの商用車子会社スカニアに対する株式公開買い付け(TOB)の期限を5月16日に延長すると発表した。全株式の90%超を確保するとした目標を当初の期限である25 […]

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は4月30日、スウェーデンの商用車子会社スカニアに対する株式公開買い付け(TOB)の期限を5月16日に延長すると発表した。全株式の90%超を確保するとした目標を当初の期限である25日までに達成できなかったため。買い取り価格は1株当たり200クローナに据え置いた。

VWは2月21日のTOB開始前の時点で、スカニアの議決権株の89.18%、全株式の62.64%を保持していた。4月25日の期限までに新たに確保したのは議決権株の6.63%、全株式の25.62%。VWの持ち株比率は議決権株で95.81%、全株式で88.25%に高まる見通しとなったものの、全株式の90%超を確保するという目標には届かなかった。

VWのTOB提案を受けてスカニアの監査役会が設置した委員会は同提案を受け入れないよう株主に呼びかけていた。現地の投資会社もTOBに応じない意向を示しており、VWが目標を今後、達成できるかは不透明だ。

州立銀行NordLBのアナリストはロイター通信に、ボルボの乗用車部門(現ボルボ・カーズ)やサーブなどスウェーデンの自動車ブランドが国外企業に買収されたことを受け、同国ではさらなる主要企業が外資の手に渡ることへの拒否感が強い、と背景を説明した。VWは今後、TOBの受け入れを拒む投資会社と個別に交渉し、翻意を促す可能性が高いという。

VWは自社の商用車部門と独子会社MAN、スカニアの3者による商用車連合の実現を目指してきたが、スカニア側の抵抗で思うように進まないことから、今回のTOBに乗り出した。全株式の90%超を確保したうえでスクイーズアウト(少数株主排除)の権利を行使し、スカニアを100%子会社化する意向だ。