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2014/5/7

経済産業情報

ダイムラー車の新車登録拒否は不当、仏最高裁が最終決定

この記事の要約

独自動車大手のダイムラーが欧州連合(EU)での使用が禁止されているカーエアコン冷媒を新車に用いているのはEU法に違反するとして、フランス当局が新車登録の受付を拒否していた問題で、同国の最高行政裁判所に当たる国務院は5日、 […]

独自動車大手のダイムラーが欧州連合(EU)での使用が禁止されているカーエアコン冷媒を新車に用いているのはEU法に違反するとして、フランス当局が新車登録の受付を拒否していた問題で、同国の最高行政裁判所に当たる国務院は5日、登録拒否を差し止める決定を下した。これにより、ダイムラーはフランス市場販売での障害が最終的に取り除かれた格好。国務院は昨年8月時点で同様の仮処分決定を下していた。

EUでは温暖化防止策の一環として、これまでカーエアコン用冷媒として使われてきた代替フロン(R134aなど)に代わり、地球温暖化係数(GWP)150以下の冷媒を使用することが昨年1月から義務づけられた。この基準を満たすのは現在、米ハネウェルとデュポンが生産する新冷媒R1234yfに限られる。ほとんどのメーカーは同ルールを順守しているものの、ダイムラーは高温のエンジンルーム内で引火性を持つことが確認されたとして同冷媒の採用を中止。これまでに引き続きR134aを搭載している。

R1234yfを採用しなければならないのは2011年1月1日以降に型式認定を受けたモデルで、それ以前に認定を受けたモデルはR134aの使用を依然として認められている。また、既存モデルの改良版として申請を行えば、新モデルであってもR134aの搭載が引き続き認められている。

ダイムラーは「Aクラス」「Bクラス」「CLA」「SL」の4モデルについて当初、R1234yfの搭載が義務づけられる新開発の車両として型式認定を受けた。だが、12年秋に同冷媒の採用を中止する方針を打ち出した後、これらモデルを既存モデルの改良版として独陸運局(KBA)に再申請。KBAはこれを認め、新車登録を受け付けている。

一方、仏陸運当局はEU規定に見合った冷媒を搭載していないとして、昨年6月12日以降に生産された4モデルの新車登録の申請受付を拒否。ダイムラーは顧客に販売した4,500台が登録できない状態となっていた。

同社はこれを受け、ドイツで型式認定を受けた車両の登録を認めないのは不当としてフランスで裁判を起こし、国務院は今回、ダイムラーの言い分を認める最終決定を下した。