従業員の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)には企業の経費で労働法の専門誌を購読する権利がある――。労働問題の最高裁である連邦労働裁判所(BAG)が3月に下した決定(訴訟番号: 7 ABN 91/13)でこんな判断を示したので、ここで取り上げてみる。
裁判は被告企業の事業所委員会が同社を相手取っておこしたもの。同事業所委は労組系の出版社が発行する労働法の月刊誌『事業所における労働法(Arbeitsrecht im Betrieb)』を購読してきたが、雇用主は労働法関係の情報はインターネットで取得できるようになったとして購読の打ち切りを決定。事業所委はこれを不服として提訴した。
同委は下級審で勝訴。最高裁のBAGも下級審の決定を支持した。決定理由で裁判官は、インターネットは情報源として重要性を増しているものの、労働法の包括的で正確な情報を得るには法律の専門家が編集する専門メディアが必要だと指摘。『事業所における労働法』は事業所体制法(BetrVG)40条2項で定める事業所委の活動に必要な物品に当たり、企業は購入費用を負担しなければならないと言い渡した。