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2014/5/14

企業情報

Siemens AG―組織再編、電力・デジタル化などを軸に―

この記事の要約

電機大手の独Siemensは6日、組織再編計画を発表した。これまでの4部門(セクター)16事業(ディビジョン)体制を廃止。電力、オートメーション、デジタル化を軸に事業を整理し、新年度が始まる10月1日から9事業体制に切り […]

電機大手の独Siemensは6日、組織再編計画を発表した。これまでの4部門(セクター)16事業(ディビジョン)体制を廃止。電力、オートメーション、デジタル化を軸に事業を整理し、新年度が始まる10月1日から9事業体制に切り替える。これらの措置により2016年9月期までに年間コストを10億ユーロ追加削減し、収益力を強化する意向だ。

Siemensは2008年、レッシャー社長(当時)がエネルギー、産業、医療機器、インフラ・都市の4部門からなる体制を打ち立てた。だが、これといった成果は上がらず、同社長は昨年、辞任に追い込まれた。

後任のケーザー社長は昨夏の就任直後から組織再編を検討。電力、オートメーション、デジタル化を軸に事業の見直しを進め、成長分野を特定した。これに伴い英Rolls-Royceのガスタービン事業を約9億5,000万ユーロで取得。これまで手薄だった小型・分散型発電事業を強化する。

一方、今回の方針により医療機器は中核事業から外れた。今後は同事業を独立させる。また、以前から周辺事業扱いとなっていた補聴器を新規株式公開(IPO)する意向だ。

組織再編の一環として電力部門を統括してきたミヒャエル・ジュス取締役は6日付で辞任した。洋上風力発電用送電線の北海敷設が大幅に遅延したほか、市場が成長している小型・分散型発電設備事業を軽視してきたことの責任を取らされた格好。後任には石油大手Royal Dutch Shellのリサ・デービス上級副社長が8月1日付で就任する。デービス氏のSiemens取締役就任後、同社は火力発電、風力・再生可能エネルギー、発電所サービス事業の統括拠点を独エアランゲンから米国に移管する。

組織のスリム化も推し進める意向で、すべての事業部門に共通する人事、広報などの業務を一元化する。また、従業員利潤分配制度の対象となる社員を少なくとも50%増の20万人強に拡大する。レッシャー社長時代の相次ぐリストラで揺らいだ会社への信頼感を取り戻す狙いとみられる。ただ、組織スリム化は人員削減を伴う可能性があり、従業員の間には警戒感が広がっている。