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2014/6/4

企業情報

BASF―シェールガスからブタジエン生産へ、Lindeと技術提携―

この記事の要約

化学大手のBASF(ルートヴィヒスハーフェン)は3日、基礎化学品であるブタジエンを天然ガスから製造する技術の開発で工業ガス大手のLindeと提携すると発表した。シェール革命の副作用で石油由来のブタジエンの不足が懸念されて […]

化学大手のBASF(ルートヴィヒスハーフェン)は3日、基礎化学品であるブタジエンを天然ガスから製造する技術の開発で工業ガス大手のLindeと提携すると発表した。シェール革命の副作用で石油由来のブタジエンの不足が懸念されていることに対応。シェールガスを用いて生産できるようにすることで、同化学品の安定供給を確保する。両社は開発した製造技術をライセンス販売する意向だ。

ブタジエンはこれまで、原油の蒸留によって得られるナフサ(粗製ガソリン)から主に製造されてきた。ナフサからはブタジエンのほか、エチレンやプロピレンも生産される。

シェール革命の結果、天然ガス由来のエチレンの価格はナフサ由来のエチレン価格を下回るようになった。このためナフサ生産が縮小し、ブタジエンが品不足となることが懸念されている。

こうした事態を受け、天然ガスからブタジエンを量産する技術のニーズが高まっており、両社は天然ガスに含まれるブタンから中間生成物のブテンを経てブタジエンを生産する技術を開発する。BASFはプロセス技術、触媒、抽出技術を開発。Lindeはプロセス統合・最適化、商業化の分野でノウハウを持ち寄る。

ブタジエンはペーパーコーティング剤や合成ゴムの原料として利用される。

BASFはシェール革命の効果で米国の天然ガス価格が低下していること受けて、プロピレンの巨大生産施設を同国のメキシコ湾岸地域に建設する考えを5月初旬に打ち出したばかり。投資規模は10億ユーロを超え、個別の投資では同社史上最大となる見通しだ。