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2014/6/4

経済産業情報

伊保健省がスイス2社に損賠請求、AMD治療薬カルテルで

この記事の要約

伊保健省は5月28日、スイスの製薬大手ノバルティスとロシュが結んでいたカルテルで被害を受けたとして、両社に総額12億ユーロの損害賠償を請求すると発表した。イタリアのカルテル当局が3月にカルテルを認定したことを受けた措置。 […]

伊保健省は5月28日、スイスの製薬大手ノバルティスとロシュが結んでいたカルテルで被害を受けたとして、両社に総額12億ユーロの損害賠償を請求すると発表した。イタリアのカルテル当局が3月にカルテルを認定したことを受けた措置。スイス2社は請求を不当と批判している。

独禁当局によると、ノバルティスとロシュは眼科疾患の一種である加齢黄斑変性(AMD)の治療薬として低価格製品の「Avastin」が処方されず、価格が大幅に高い「Lucentis」が処方されるよう、違法な取り決めを行っていた。これにより、イタリアの医療保険財政の負担が少なくとも4,500万ユーロ膨らんだとしている。制裁金の額はノバルティスが約9,200万ユーロ。ロシュが9,050万ユーロ。

これに対し両社は、Avastinが本来はがん治療薬であり、AMDへの処方は認可されていない事実を指摘。AMDの治療薬としてAvastinが処方されていることに問題があると反論している。専門家によると、同薬はAMDに効果があるものの、副作用が大きいという。

Lucentisはロシュの米子会社ジェネンテックが開発したAMD治療薬で、ロシュとノバルティスが販売権を持つ。Avastinはロシュのがん治療薬。

保健省の損賠請求額(12億ユーロ)が、カルテルにより医療保険財政が受けたとされる損出額(4,500万ユーロ以上)を大幅に上回ることについて、ロシュは「非現実的だ」と批判。ノバルティスは損賠請求そのものを「根拠がない」としている。