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2014/6/18

ゲシェフトフューラーの豆知識

求人対象を女性などに限定は違法か

この記事の要約

人種、民族、信条、性別、年齢などを理由に採用や昇進などで差別することは一般平等待遇法(AGG)で違法とされており、違反した企業・公共団体は損害賠償や慰謝料の支払いを義務づけられる。こうした規定は差別を受けやすい外国人や女 […]

人種、民族、信条、性別、年齢などを理由に採用や昇進などで差別することは一般平等待遇法(AGG)で違法とされており、違反した企業・公共団体は損害賠償や慰謝料の支払いを義務づけられる。こうした規定は差別を受けやすい外国人や女性、高齢者などの権利を向上させる目的で導入されたものである。では、求人募集の対象を女性など差別の対象になりやすい人に限定することは許されるのだろうか。この問題をめぐる係争でベルリン労働裁判所が5日に判決(訴訟番号:42 Ca 1530/14)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は左派系の日刊紙『ターゲスツァイトゥング(TAZ)』の求人広告を不当として、応募した男性が起こしたもの。TAZは研修生を募集した際に、「移民系の女性」であることを応募条件として明記していた。原告はこれがAGGで禁じられた性差別に当たるとして、慰謝料支払い請求訴訟を起こした。

1審のベルリン労裁は原告の主張を認め、月給3カ月分に相当する慰謝料支払いを被告TAZに命じた。判決理由で裁判官は、TAZは不当な方法で男性を差別したとの判断を示した。

また、求人対象を女性に制限することは管理職女性の割合を増やすために必要な措置だとするTAZの主張に対しては、女性を研修生として雇用することはそうした目的の実現に適さないとして、言い分を退けた。