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2014/6/18

ゲシェフトフューラーの豆知識

未消化の有給休暇は相続対象=欧州司法裁

この記事の要約

雇用関係の終了時点までに消化できなかった年次有給休暇は金銭に換算して退職する被用者に支給される。これは有給休暇法(BUrlG)7条4項に明記された決まりである。ただ、被用者が死亡したために消化できなかった場合はこの権利が […]

雇用関係の終了時点までに消化できなかった年次有給休暇は金銭に換算して退職する被用者に支給される。これは有給休暇法(BUrlG)7条4項に明記された決まりである。ただ、被用者が死亡したために消化できなかった場合はこの権利が消失し、相続対象とはならない。ドイツの最高裁である連邦労働裁判所(BAG)は2011年に下した判決(訴訟番号:9 AZR 416/10)でこのような判断を下したが、欧州連合(EU)の欧州司法裁判所(ECJ)は12日の判決(訴訟番号:C-118/13)でこれと正反対の判断を示した。

裁判を起こしたのは被告企業K+Kに勤務していた男性社員の遺族。同男性は1998年8月から死亡する2010年11月19日までK+Kに所属していたものの、2009年からは継続的に病欠し、死亡時点で未消化の有給休暇が計140.5日に達していた。

遺族はこれを踏まえ、同日数分の有給休暇を金銭に換算(1万4,600ユーロ)して支給することをK+kに要求。これが拒否されたため、提訴した。

ECJは独ハム州労働裁判所(2審)の要請を受けて今回の判断を示した。判決理由で裁判官は、有給休暇の権利である◇休暇を取得する◇休暇の取得期間中も給与の支払いを受ける――の2点は不可分のものだと指摘。死亡によって有給休暇が取得できなくなっても給与の権利は失われず、金銭に換算して遺族に支給されなければならないとした。