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2014/7/23

ゲシェフトフューラーの豆知識

顧客への横柄な対応、処分は妥当か

この記事の要約

ドイツで生活していると役所の職員や店員に横柄に対応され不愉快な思いをすることが、日本に比べて多い。では雇用主はそうした職員・社員を処分することができるのだろうか。この問題をめぐる係争でシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労働 […]

ドイツで生活していると役所の職員や店員に横柄に対応され不愉快な思いをすることが、日本に比べて多い。では雇用主はそうした職員・社員を処分することができるのだろうか。この問題をめぐる係争でシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労働裁判所が5月に判決(訴訟番号: 2 Sa 17/14)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は被告企業で職業訓練のコンサルティング業務に従事する男性社員が同社を相手取って起こしたもの。同社員はある日、電子メールで口頭試問に関する問い合わせを行った顧客に対し横柄な内容の返信を行った。顧客が苦情のメールを本人に送ったところ、「今日は電話を20件以上受けたため、親切に対応する余力が残っていない」などと返答したことから、顧客は会社に苦情を伝え、雇用主は同社員に警告処分を下した。これに対し、同社員は警告処分は不当だと主張。その取り消しを求めて提訴した。

原告は1審で敗訴し、2審のシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労裁も1審判決を支持した。判決理由で裁判官は、原告は顧客に対し横柄な返信を1度ばかりか2度も行ったと指摘。警告は妥当な処分だとの判断を示した。最高裁への上告は認めなかった。